【インドネシア】技能実習について思うこと【技能実習】
Assalamualaikum!
暑い日が続きますね。
今回は最近何かと話題の技能実習について書いていこうと思います。
僕が知っているインドネシア人にも多くの技能実習生がいるので、とても関心のある制度です。
主観的につらつらと書いていきますが、出来るだけ公平な目線で、僕が知りうる事実を書きます。
技能実習制度は賛否両論あるので、難しい話題ですが、あえて記事にしてみました。
僕が書くのは主にインドネシア人の技能実習の話なので、他の国々では多少異なるかもしれません。
技能実習とは
いきなりですが、厚労省のサイトから技能実習制度について述べた一文がありますので引用します。
外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としております。
出典:「外国人技能実習制度について」厚生労働省
簡潔に言うならば、
「発展途上国の人々は先進国である日本で技術を学び、それを持ち帰り、自国の発展に貢献してください」
と、言うことでしょう。
正直、上から目線だなと感じます。
ですが、本当に日本の技術を発展途上国に移転できるのであれば、それは素晴らしい制度であると言って良いでしょう。
しかしながら、これは建前となってしまっているのが現状です。
100%ではありませんが、技能実習に関わっている人のほとんどが結局はビジネス・自分の利益を目的としてこの制度に携わっています。
僕は「技能実習制度=教育」であるべきだと思いますが、そのような綺麗事で動いている人は限りなく少ないでしょう。
技能実習制度のメリット・デメリット
技能実習生はこれだけメディアで叩かれても増え続けています。
なぜか、と問われれば、技能実習制度に携わることで利益が享受できるから、と言うことが本音での回答となるでしょう。
それでは、どんな人々が技能実習制度に携わっているか見ていきましょう。
技能実習制度に携わる人々
技能実習制度に携わる人々にはこのような人々がいます。
- 技能実習生
- 発展途上国にある送り出し機関(実習生を教育し、日本に送る役目)
- 日本にある監理団体(受け入れ企業と送り出し機関の仲介)
- 受け入れ企業(実習生を受け入れ、働かせる)
その他にはもちろん、国も携わっていますが、今回は国の立場を抜きにして考えていきます。
次は、それぞれの立場からのメリット・デメリットを見ていきます。
技能実習生
メリット
- 日本に行くことで、自国では体験できない技能や知識が得られる
- 報酬が自国より高いので貯金・仕送りができる
- 日本語を学ぶことも可能なので、将来的に日本で働くことも考えられる
- 帰国後に企業するなどの選択肢がある
デメリット
- 技能実習生の候補者になるために送り出し機関などに借金をして、お金を支払う
- 特に技能がいらない職や、自国で活かせない職につくこともある
- 日本人と仕事量が同じでも、報酬は最低賃金なこともある
- 職場によっては日本語の会話が一切発生しないため、何も身につかない
- 職場から逃げた場合、不法滞在扱いされることも
- 死傷することもある
技能実習生は一大決心をして日本に来るので、多少のことでは不満を言わない(言ったところで、待遇がさらに悪くなる可能性があることを理解している)が、限界に達して帰りたいと願っても借金が残っていて帰れないことがほとんどです。
さらには、仕事から逃げれば技能実習ビザの効力が失われるので、立場が非常に低いと感じます。
受け入れ企業の方々が技能実習生を気にかけてくれるような職場とそうでない職場で、実習期間の充実度はまるで変わってきます。
職場の環境などを事前に実習生が知ることはできないので、日本についてから、「こんなはずじゃなかった」などという実習生も少なくありません。
送り出し機関
メリット
- 費用が特にかからない(費用は実習生候補者が支払う)
- 日本に滞在する実習生の数だけ監理団体から手数料が入る
デメリット
- すでに日本行きが決まっている実習生が途中で辞退する場合などは違約金を支払う必要がある
送り出し機関は初期投資が少なく始められるため、発展途上国の都心から田舎まで乱立している。最近では日本人や日系企業が参入していることもあり、よりビジネス感が強くなっているように見えます。
その結果が、昨今のニュースで見られる酷い実態の一端であると思います。
監理団体
メリット
- 初期費用がほとんどかからない
- 毎月、日本に滞在する技能実習生×管理費(手数料)が企業から払われる
デメリット
- 技能実習制度に大きく左右される(制度がなくなれば潰れる可能性が高い)
監理団体は非営利団体なので、前面的に営業をしていませんが、大きな監理団体であれば、営業などしなくても、企業からの技能実習生の注文が入るので、技能実習制度が廃れない限り、存続できるでしょう。
立場上、技能実習生が企業から不当な扱いを受けた時などに企業を指導する立場だが、結局、企業はお客様なので、強く言えず、そのしわ寄せを技能実習生が受けていることが多いと感じます。
受け入れ企業
メリット
- 人手不足の解消
- 職場に活気が出る
- 発展途上国進出の足がかりとなる(優秀な技能実習生を現地の幹部候補とする)
デメリット
- 日本語が全くできない実習生が来た場合、仕事にならない
- 技能実習生がいることによる風評被害
- 技能実習生がユニオン等に訴えた場合、職場環境に問題がなくとも立場が弱い
受け入れ企業のほとんどが人手不足に喘いでいるため、技能実習制度はなくてはならない存在になっています。
よくメリットとして低賃金で雇えるので費用が浮くとありますが、これは間違いです。
多くの企業は技能実習生が暮らせるようなアパートの費用を100%ないし、そのほとんどを負担しています。
確かに技能実習生は低賃金ですが、技能実習生一人当たりに多額の管理費を監理団体に払っているので、結局、日本人を雇っているのと出費は変わらないとされています。
むしろ、アパート代などの分で、日本人を雇うより費用がかかっている企業もあると思います。
最後に
技能実習制度には本音と建前があります。
建前は厚労省が述べている通りですが、結局のところ、労働力の確保と技能実習生ビジネスをしたい人々の本音と建前の乖離が激しいことで、歪んだ制度になってしまっていると感じます。
技能実習制度に携わる人々がこの建前を本音と受け止め、真摯に取り組むことで、技能実習制度は良いものになっていくと思いますし、発展途上国の発展に貢献することもできるようになるでしょう。
なお、この記事は一部の団体や技能実習制度自体を批判するものでないことをご理解ください。
また、この記事は主観が多分に含まれますので、ご指摘ご批判もあるかと思います。
ご意見があれば、コメントに頂けますと幸いです。
それでは、Assalamualaikum!